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【2020年】Ca拮抗薬

Ca拮抗薬が働く筋肉は、主に2つあります。「血管平滑筋」と「心筋」です。
これらの筋肉が収縮するには細胞外からのCaイオンの流入が必要です。
"Caイオンの流入は、それぞれの細胞膜に存在する電位依存性Caチャネルを通して行われます。
このチャネルに結合して、その働きを阻害するのが「Ca拮抗薬」"
"電位依存性Caチャネルには、複数の「型」が存在しており、
その違いがCa拮抗薬の多様性と効果の違いをもたらしているのです"

 


すべてのCa拮抗薬は、程度の差はありますがL型Caチャネルに対する親和性をもっています。
何がそれぞれの作用の違いを生むのかというと、「結合部位」の違いです
N(nifedipin)部位、D(diltiazem)部位、V(verapamil)部位があります。

【N(nifedipin)部位】
ジヒドロピリジン系(語尾にジピンがつくもの)が結合する部位です。血管拡張作用に強く関与しており、N部位に結合する薬は、強い降圧効果を示します。
一方で心筋への作用はほとんどなく、陰性の変力作用や抗不整脈作用は発揮しません。
【D(diltiazem)部位】
"ベンゾチアゼピン系(ジルチアゼム等)が結合する部位です。
この部位に結合すると心臓の血管にも作用するため、狭心症にも効果を発揮します。"
一方で、降圧作用はあまり高くないため、降圧目的に使用するには少し力不足な場合があります。
【V(verapamil)部位】
フェニルアルキルアミン系(ベラパミル等)が結合する部位です。この部位に結合するCa拮抗薬は、圧倒的に心臓への作用が強いのが特徴です。

L型Caチャネルは、固有心筋(心臓収縮に関わる心筋)の収縮過程だけでなく、洞結節など特殊心筋(ペースコントロールに関わる心筋)の活動電位にも関わっています。
Ca拮抗薬は血管の拡張だけでなく、心拍数のコントロールにも影響を与えるのです。

心臓への親和性の高いペラパミルは、心房細動、心房粗動といった不整脈のレートコントロールやPSVT(発作性上室頻拍)の停止に用いられます。


T型Caチャネルは血管収縮にも寄与し、特に腎臓では輸入・輸出細動脈の収縮に関わっているため、T型を遮断すること腎保護効果も期待されます。
T型カルシウムチャネルはL型、N型と同様、心臓、腎臓に存在しますが、加えて副腎にも存在します
副腎ではアルドステロンが作られています。
アルドステロンが多くなると体内にナトリウムが貯まりやすくなります。
ナトリウムと水は基本同じ動きをします。つまり循環血液量が増えることで、心臓に負担がかかります。


例えば、L型Caチャネルの遮断により血管を拡張して降圧すると、その反動で交感神経が活性化します。→心臓が活発に。
すると、「心拍数の増加」や「心収縮力の増加」を起こすケースがあります。N型Caチャネルは交感神経終末に存在しており、その発生に関わっているとされています。
N型Caチャネルを遮断すると、交感神経終末からのノルアドレナリン(NA)の分泌が抑制されます。
つまり、交感神経の亢進に伴う血管収縮の抑制、心収縮力や心拍数の増加を軽減できるわけです。(=ストレス性の高血圧にも効果が期待される)。
ノルアドレナリンは血管平滑筋のα1受容体に結合して血管を収縮させ、血圧を上げます。
また心臓のβ1受容体に結合すると心拍数が上昇します。
更に腎臓のα1受容体に結合すると腎臓の血管を収縮させ血流が悪くなってしまいます。

 

 

ニフェジピン(アダラート)
第1世代。L型に作用します。血管選択性高く,降圧作用強いのが特徴です。冠攣縮も予防効果も認められ、血圧が高めの異形狭心症にも用いられます。
ニフェジピンは作用発現が非常に早く、心拍数の上昇が認められることがある
製剤工夫によりL錠(T1/2 : 3.7h)やCR錠(24時間で2峰性の体内動態)
アダラートCR錠は胃と腸でゆっくり溶けて効いていく。
ノルバスク錠に比べて、夜に服用することで朝の血圧を効果的に下げる。
血圧を下げる効果自体はほぼ同じで、日中の血圧が下がりすぎる可能性は少ない。

ベニジピン(コニール)
第2世代。L,T,N型に作用します。降圧作用はやや穏やかとされていますが、冠攣縮の予防効果に関しては他剤よりも有効とされています。
また、T型に作用することから腎保護作用も期待されます。冠血管(心臓の血管)も拡張するため狭心症にも適応があります。
高血圧合併の早期から中等度CKD患者において、尿中アルブミン減少、尿中アルドステロン値低下、尿中Na/K比低下が優位
腎機能が低下している患者に対して、今後積極的に使用されていく可能性がある薬剤です。
T型カルシウムチャネルを阻害することで、アルドステロンが作られるのを抑え、心臓の負担を軽くする事ができるのです(心保護作用)。
半減期は1~2時間程度ですが、高血圧に対しては1日1回、狭心症に対しては1日2回の服用となっています。
"コニールはカルブロックと同様、一部はカルシウムチャネルに
結合しますが、残りは細胞膜の構成成分である脂質やアルブミンに取り込まれる事で体内に存在する事ができるのです。
そして順次カルシウムチャネルに移動し結合します。これが長時間作用する事ができる理由です。"

ニカルジピン(ペルジピン)
第2世代。L型に作用します。経口薬の降圧作用は緩やかであり、副作用は相対的に少ないのが特徴です。

シルニジピン(アテレック)
第2世代。L,N型に作用します。輸出細動脈拡張による腎保護作用と心拍数を抑える効果が注目された薬剤です。
インスリン抵抗性の改善、尿酸低下作用、尿中アルブミン減少作用など多くの「付加的効果」が報告されています。
単純な降圧効果ではやや劣る印象です。

アムロジピン(ノルバスク)
第3世代。現在の降圧治療の主力です。L型に作用します。非常に半減期が長く(36時間)1日1回の服用で十分な降圧効果が得られるのが特徴です(T1/2:39h)。
高い安全性と圧倒的な臨床成績により、ARBとの合剤の成分としても積極的に採用されています。
他剤よりも顔面紅潮や頭痛、頻脈、浮腫などの副作用が少ないことが特徴です。反射性頻脈が少ない。
即効性はないものの、ゆっくりと薬の作用が現れまた長時間持続するため、血圧の変動が少ないのです。これがノルバスクに反射性頻脈が少ない理由です。
グレープフルーツや併用薬による相互作用も少ない

アゼルニジピン(カルブロック)
第3世代。L,T型に作用します。降圧作用が緩徐であり、心拍数への影響が少ないのが特徴です。したがって、顔面潮紅や頭痛、反射性頻脈などの副作用を起こしにくい薬です。
臓器保護作用や抗炎症作用も注目されており、酸化ストレスやAGE(終末糖化産物)の低下も報告されている


ジルチアゼム(ヘルベッサー)
L型CaチャネルのD部位に作用します。冠動脈の拡張作用が強く,血圧をあまり下げないので、正常血圧の狭心症によく用いられます。
冠血管だけでなく心筋にも作用して洞性興奮,房室伝導をブロックします。つまり、高血圧で頻脈傾向の患者に効果的といえます。
ジルチアゼムは、血管と心臓への作用バランスがよく、ニフェジピンとベラパミルの中間の働きがある


ワソラン(ベラパミル)
L型CaチャネルのV部位に作用します。心臓選択性が高く、降圧目的では使用しません。基本的には抗不整脈薬として使用します。
ジルチアゼム同様、洞性興奮,房室伝導をブロックすることで、発作性上室性頻拍をよくコントロールできます。
ベラパミルはCYP3Aで代謝されるとともに、P糖タンパクの基質でもあります。よって、併用薬との相互作用が問題となるケースがあります。
併用事例が考えられるプラザキサとの併用により、抗凝固作用が増強するため特に注意が必要です。


腎の細動脈には3つの型(L,T、N)のCaチャネルが存在しています。注目すべきは、L型は輸入細動脈に多く、T型とN型は輸入・輸出どちらにも発現しているということです。
"つまり、L型のみ遮断してしまうと、輸入細動脈が拡張して血液の流入が多くなります。
一方で、輸出細動脈の径が変わらないため糸球体内圧が高まってしまいます。=腎臓に負担がかかります。"
よって、T型やN型のCaチャネルも遮断できるCa拮抗薬に注目が集まっているわけですね
例えば、慢性腎臓病(CKD)では、交感神経の亢進による輸出細動脈収縮も糸球体高血圧の原因となり腎障害の進行を促進しています。
輸出細動脈にはL型Caチャネルが存在しないために、L型Ca拮抗薬ではこの病態を改善することはできず、むしろ悪化させてしまうことも予測されます。
シルニジピンなどはN型Caチャネルの阻害により腎交感神経活動を抑制し、輸出細動脈拡張による糸球体内圧低下を生じ、尿蛋白を減少させると報告されています。
糖尿病による神経障害のあるケースでは、交感神経支配が低下しているため(下側のイラスト)、L/N型よりもL/T型の薬剤の方が有効という報告もあります。

 

めまい、ふらつき、頭痛、動悸、ほてり、顔面紅潮、などの副作用があります。これらは血管の拡張により引き起こされます
他に便秘、浮腫(むくみ)、歯肉肥厚などが現れる場合もあります
ノルバスクによりカルシウムイオンの細胞内流入が邪魔されると、歯肉の線維芽細胞でコラーゲンの分解が邪魔されてしまい、歯肉が増殖して腫れてしまうのです。これを歯肉肥厚といいます。歯肉肥厚は口の中を清潔に保つことで多少は予防できます。
"ノルバスクは妊婦又は妊娠している可能性のあるには投与する事ができません。禁忌です。
理由としては子宮の収縮が抑えられることにより、妊娠期間、分娩時間の延長が報告されているからです。
ただこの作用を利用して早産の予防にあえて処方されるケースもあります。"
またノルバスクは母乳に移行する事が知られており、服用中は授乳も控えて頂く必要があります。

反射性頻脈とは例えば降圧薬を服用して急に血圧が下がると血圧を上げようとして、交感神経末端よりノルアドレナリンが放出され、心拍数が上昇することです。


カルシウム拮抗薬のバイオアベイラビリティとグレープフルーツ
カルシウム拮抗薬の解毒酵素:薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)の3A4
酵素の存在する臓器:小腸と肝臓
グレープフルーツを食べてはいけない理由
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン等の阻害成分によって小腸におけるCYP3A4の働きが不可逆的に不活性化*1されてしまい、消化管吸収時のカルシウム拮抗薬の代謝が減少し、結果として吸収が増加してしまうからです
その結果、血中濃度が上昇し血圧が下がり過ぎ、場合によっては失神してしまったり、心拍数が上昇したり、顔が赤くなるというような副作用が現れる
不可逆的に不活性化:グレープフルーツの摂取を中止してから徐々に回復するが、元に戻るまで3?4日かかるとされている。
フラノクマリン類を含有する柑橘類
グレープフルーツ、スウィーティー、ブンタン、バンペイユ、ダイダイ、はっさく、ざぼん、夏みかん、甘夏、ライム、キンカン、ざくろ、山ぶどう、桑の実、ブラックラズベリー等
フラノクマリン類を含まない柑橘類
温州みかん、伊予柑、デコポン、ポンカン、オレンジ、ネーブル、レモン、カボス、柚子等


Ca拮抗薬で下肢浮腫
用量依存的。
Ca拮抗薬の減量+ARBの追加を提案。CCBにRA系を併用することで浮腫リスクが38%減少。
CCB減量では血圧が上がるかもしれない。そこでARBを併用することで、下肢浮腫の発現頻度が減る報告がいくつもあることも併せて提供する。
一つは細動脈の拡張に対して細静脈の拡張が伴わない結果、毛細血管圧が上昇するというもの。
もう一つはRAA系の亢進。であれば、RA系の併用は理に適っている。
"RA系が使えなかったとしたら? じつは、L/N型CCBのシルニジピン(アテレック)がCCBの中でも、下肢浮腫の発現が少ないという報告がある。
その機序として、N型Caチャネル阻害による交感神経の抑制やアルドステロンを含むRAS活性化の抑制の関与が示唆されている
RA系を使えないときの次善の策として覚えておく。"

※異型狭心症に適応のある「Ca拮抗薬」
"『バイミカード(一般名:ニソルジピン)』
『ヘルベッサー(一般名:ジルチアゼム)』 
『アダラート(一般名:ニフェジピン)』 ※CR錠のみ"